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≪知っているとちょっとお得なワインマメ知識≫「樽のひみつ③」"オークチップ"って何だ??2016/02/15

ワインのマメ知識コラム「樽について」シリーズも第3回目となりました。

今回のシリーズは「ワインの添加物」シリーズと並んでなかなかの反響を戴いて嬉しい限りです。
皆さん、本当にワインに関して「知りたい」という気持ちが強いんですね。
最近CLUB30にご入会頂いた方は、「ワインのマメ知識」 コラムコーナーに前回迄の文章を掲載してありますので、

良かったら前の回を読んでみてくださいね。

さて、今回はワイン業界(特に生産者側や大手メーカー)では誰もが知っていながら、
実際にワインを楽しむお客様たちはその事実をあまり知らないこと、
についてご説明をするこのコラムお得意の内容。
「オークチップ」というものの存在についてお話をしたいと思います。

 

「オークチップ」とは???

オークチップ、直訳すれば“オークのかけら”です。
前々回のコラムで書いた通り、ワインの熟成に使用する樽は頑丈で水に強い「ブナの木=オーク」です。
オークチップはその名の通り、オークの大木から樽材を切り出すときに出た木の破片・木屑です。

では、その木片を何にどうやって使うんでしょうか。
非常にシンプルです。ワインの発酵過程や熟成過程でその木片をワインに直接放り込んで、
ワインに直接、木の香りとフレーヴァーを付けるのです。

前回までにお話しした熟成用の「樽」は、樹齢100年以上の貴重なオーク材を職人がハンドメイドで造ります。
そのため安いもので5万円程度、フレンチオークなら1本あたり10万円以上もする非常に高価なもの。
オーダーメイドで木材の産地や焼き加減を調整すると、更に価格は高くなります。
この樽が1本225リットル程の容量ですから、750mlのワインフルボトルとしたら丁度300本分。
樽1本のコストが10万円なら、ワイン1本あたり333円分のコストが必要になる勘定です。

 

樽の香りがする安いワイン、本当に樽熟成させているの・・・?

そこで次は、ワインの話に戻りましょう。
お店で1本300円台~1000円しないような価格帯で売っているワイン。
買って飲んでみると、木の香り・フレーヴァーが非常に強く付いているものが結構あります。
チリやアルゼンチン、南アフリカやオーストラリアの低価格ワインがその代表です。
特に目立つのがシャルドネ種を使用した白ワインです。
スクリューキャップを開けた瞬間、むせかえるような木の香りを感じたこと、ありませんか?

でもちょっとおかしいですよね。
仮に1本980円のワインだとしましょうか。
お店がワインを販売してある程度の利益を得るのは当然として、
お酒には酒税がかかり、輸入すれば運賃・関税がかかり(特恵で無税の場合もありますが)、
当然ガラス瓶やキャップ、ラベル代などの容器代もかかり、そして勿論、ブドウのコストと生産者の利益!
その中で、樽熟成のコストが1本に数百円がかかっていたとしたら、あまりにもその比重が高くないでしょうか。
しかも全国各地のコンビニやスーパーで売っているような大量生産のワイン、
そんなに沢山の木樽が、ハンドメイド品で確保できるでしょうか??

そうです、だから実際の樽で熟成せずに、オークの木片をワインに入れて香りと味を付着させるわけです。
オークチップは、ただの木屑ですから非常に安く手に入ります。
(自宅でのお酒の醸造が許可されている国では、家庭用の小規模な仕込み用に簡単に手に入ります)


本物の樽と同様に焼き加減を調整し、付着させるフレーヴァーの強弱も変えられます。
直接発酵タンクや貯蔵タンクに放り込むので、樽熟成だと数か月~数年を要する工程が数週間に短縮できます。
僕が昔訪れた豪州の超巨大ワイナリーでは、プレミアムレンジのワインにオークチップを使用していました。
女性用のストッキングにこのチップを沢山詰めて、ワインの中に放り込むのを見て絶句しました 笑

 

↓ こんな風に、オーク片をワインに漬け込んで風味を加えます。


でも、なぜそうまでして樽熟成の風味が必要なのでしょうか。
オークチップを使う生産者は「低価格のワインでも樽熟成のニュアンスを堪能してもらいたい」というよりは、
残念ながらただ単純に大量生産した原料ブドウのポテンシャルの低さを覆い隠すために使っているとしか思えません。


果実味や酸の弱いワインに人工的に糖や酸を加えたりすることで不自然なバランスになったワインを
強烈な木のフレーヴァーで包み込み、その不自然さをカバーしているのだと思います。
こんなワインを飲んで「樽の香りがするワインは嫌い」となったしまったとしたら、本当に悲しいことです。

フランスではAOCワイン(産地名を名乗る原産地統制呼称認定ワイン)には
オークチップを使用することが禁止されていますが、テーブルワインや地酒ではその限りではありません。
現在、本当に低価格のワインには、糖分や酸、果てはタンニンまで人工的に添加されています。
そして以前お話しした「アラビアガム」のようにふくよかさを与える添加物まであれば、味覚設計は自由自在。
現代のワインは、低価格化と引き換えに人工的に作られる清涼飲料水と同じになってしまったのかもしれません。

でも、WINE CLUB30ではこういったワインを絶対に扱わないのでご安心ください。
僕たちがワインを買い付ける生産者は、
大量生産は出来なくても本当に誠実に実直にワインを造っています。
美味しくて安心で、そしてフェアに造られたワイン。
CLUB30は今後も、そういったワインだけを丁寧に取り揃えていきますよ!

さて、今回はこの辺で。樽のお話しを3回に渡って続けて来ましたが、
フィラディスの企業サイトで弊社代表石田による新たな記事がアップされますので、
樽の更に深~いお話しはそちらのコラムをご紹介しますね。
次回からはまた、別の話題に移りたいと思います。
「ワインのこんなこと知りたい!」という、コラムテーマのご要望も大歓迎です!

 

このコラムに関連したオススメワインは・・・

最後に・・・今日のおすすめワインは当然「本物の樽で熟成すると、樽香は本当に心地よい」ということを体感する1本。
カリフォルニアの「ベンチ・ピノ・ノワール」です。
item/40/ ←ワインのご紹介はこちらです

米国産ワインながら、アメリカンオークではなくフレンチオークの樽で7カ月熟成させたこのワイン。
30%の新樽を使い、厚化粧ではなく控え目なのに確かな存在感のある樽のフレーヴァー。
カリフォルニアのジューシィなピノのスタイルと、ブルゴーニュのエレガント・ピノが完璧に融合した1本です。

冷涼な地域で産まれたこのワインは、やはり温度はやや低めに。
抜栓はお食事の90分以上前に、30分前からは冷蔵庫、のやり方で飲んでみて下さいね。
CLUB30開店時から非常に人気のあるワインで、実はそろそろ現行ヴィンテージが終了してしまいそう。
次回入荷は春以降なので、ファンの方はお早めに確保しておいて下さいね。

それでは、今回も長文を最後まで読んで戴いてありがとうございました!

Firadis WINE CLUB 30 店長 五十嵐 祐介

*今回のコラムを書くのに当たり、下記の文献・ネット記事等を参考に致しました。
・日本醸造協会雑誌 第77巻 第3号 P140-P144 「洋樽について」 早川 清
・「ワイン物語 豊潤な味と香りの世界史(上)」 ヒュー・ジョンソン著 小林幸夫約 日本放送協会出版
・Wikipedia “Oak(Wine) https://en.wikipedia.org/wiki/Oak_(wine) ←画像が参考になります
・株式会社フィラディスHP ニュースレター 「ワイン樽4つのメーカーを徹底レポート!」 
 弊社代表 石田大八朗執筆 http://www.firadis.co.jp/newsletter/201601